拍手ログ


以前拍手に置いていたものです。
・カップリング雑多につき注意。特に記載のないものは現代パラレルになります。




君を想う5つのお題(アヤミカテイ+ミカヒュハクミカミカハクミカとおまけ)
きみのしらない知らないきみのひとこと(ヒュハク)
Ich warte(アヤフラ)
You've Got Mail(ハクミカの場合:ヒュウハクの場合:アヤミカの場合:アヤフラの場合)
気遣い(アヤミカ前提ミカ+テイ:軍部 会話のみ)
さみしくないよ(アヤ子ミカゲ:親子)
潮騒(テイミカ:原作)






あいされなくていい、なんてうそ



※執事パラレル(アヤナミ+子ミカゲ)
 アヤナミ様が原作の原型留めていないキモイくらい甘い人。





 屋敷に戻っても仕事をされている主の為に。
 そう思って作った紅茶が無駄足になったと知ったのは、既に仕事を終え簡単に書類を纏めていた主の部屋を訪ねた時だった。
 青年期に差し掛かった頃合の彼ならば少しだけ困ったように笑った(あるいは完璧なほどの笑顔の)後、一礼して去るのだろうが、まだ少年期に入って間もない上、この仕事をし始めて一年にも満たない彼はこの後の対処に迷ってしまった。

 扉を開けた格好のまま固まってしまった自らの従者をどう思ったのだろう。眉を眉間に寄せ立ち上がり歩いてきた主に何か言わないと、と思うのだが、上手い言葉が出てこない。
 思わず俯いてしまったミカゲの上に影が落ちる。用意していたティーセットを見られてしまったのだ言う事と、まだ自分のいれた紅茶を美味しいと言ってもらったことが無いのを思い出して更に恥かしさがこみ上げ頬に熱が集まる。もしかしたら主は自分の入れた紅茶は好きじゃないかもしれないのに、美味しくもない紅茶を勝手に持ってきては迷惑なのかもしれない。

 ふわり、と体が浮く感覚に驚き顔を上げると間近に主の顔が見え、固まっていた体は更に石のように固くなった。そんな従者を無表情に一瞥し、主は片手に彼を抱えたままティーセットが揃えられたワゴンを中に入れベッドの脇で止め、従者をゆっくりと下ろしベッドに座らせる。

 「あ、あの?」
 
 何度も瞬きをして、なんとか現状を把握しようと幼い頭をめぐらせる従者に眉間の皺を消し、主は用意されていたカップに紅茶を注ぎミカゲの横に座った。
 くつろいだ様子で紅茶を飲み始めた主に言うべき言葉が見つからず視線が泳ぐ。従者としてどう振舞えばよいのかと迷うミカゲの目に写るのは、先程いれてきた紅茶を味わうように飲むアヤナミの姿だった。

 「味・・・いかがでしょうか?」
 
 その言葉に主は振り返り、眉を八の字にして不安に怯える子供を捉えた。先程の困って泣きそうな顔とはまた微妙に違う顔をする従者に、アヤナミは人の表情とはこうも多様性があるのかと感心してしまう。
 返事を返さないのに更に不安を覚えたのか、ミカゲは子供特有の大きな瞳を潤ませ始めた。どうすればよいかと思ったときに、主がふと思い出したのは、部下が言っていた言葉だった。

 「不味いのなら飲んだりせん。」
 
 その言葉とともに頭を撫でられ、子供の体がびくりと震えた。目一杯に開かれた瞳は驚きに彩られていたが、やがて遠回しな主の言葉の意味を理解したのか子供らしからぬ動作でほっと息を吐く。そうして先程抱えた不安が消えると、今度は動けなくなった。主が頭を撫で続けているためなのだが、彼が困っているのに気づいていないのか、あるいは気づかないフリをしているのか止めてはくれなかった。
 やがて、安心して眠くなってきたのか、従者の頭はゆっくりと船を漕ぎはじめた。これにはすぐに気づいた主はカップの中身を空にしてワゴンに戻すと、ミカゲを自分のベッドに横たえた。

 「かたづけ…。」
 「明日で良い。」

 起き上がろうとするミカゲを制し主は布団を掛ける。あした、と呟くとどうにか堪えようとしている瞼が落ちていくのが判る。
 その様子に息をつき瞼の上に落ちた前髪を掬ってやると、眠気に負けたのか、瞼が完全に落ちた。

 「お休み。」

 寝入ったのを確認して、アヤナミも気づかれないようにそっとベッドの中に入った。起きても自分が起きなければ抜け出せないようにと、両腕に小さな体を抱きしめる。起きてしまえばこの少年が眠気をこらえながらでも無理やり自分の部屋に戻ろうとするのは明白だからだ。
 ミカゲは・・・一人で立とうとしているから


 (本当は、甘えたい年頃だろうに)




2 饒舌すぎる瞳


※in軍部パラレル テイト+ミカゲ 
 


  朝起きるとなんだか妙に寒気がした。
 なんだろうコレ。と思っていると覗き込んできた親友の顔が妙に心配そうでした。



 「お前、風邪引いてないか?」


 ひたり、とひんやりした手が頬に触れて、気持ちいい。
 ずっと触っててくれないかなと願ってみたがその願いは叶えられず離れて、少しだけ冷えた頬の余韻とテイトが話す声の心地よさを頼りにすう、と意識を飛ばす。

 次に目覚めたのは額に何か、手よりも冷たいものが乗せられた時だった。
 瞼を開けると自分を呼ぶ声が聞こえて、そちらに顔を向けると安心したような、少しだけ怒ったような顔をした親友。

 「ていと?」
 「うん。」
 「オレ、風邪なの?」
 「インフルエンザだって。医務の人が言ってた。あとお前の上司から三日間出勤停止だって。」 
 「そっか・・・。」
 
 だからこんなに苦しいのかと熱で機能停止に近い頭で考える。苦しいし、なんだか寂しい。ただテイトがいてくれるのでその寂しさも和らいでいるけれど。

 「しんどいかもしれないけど、何か食うか。」
 「ん、だいじょぶ。」

 それよりも傍にいてくれたほうがいい、とはちょっと恥ずかしくて言えないのでミカゲは笑顔を作って応える。けれど、作り笑顔が判ったのか、テイトはまだ少し怒った顔をしたままミカゲの顔をじっと見詰めた後、緩く首を振った。

 「いや、やっぱなんか貰って来るよ。こういうときは少しでも何か食べとかないと、治るもんも治らなくなるって大佐が言ってたし。」

 そう言うが早いが、テイトは立ち上がって扉へ向かっていく。
 止めようとミカゲは一瞬手を挙げたが、自分を心配して食べ物を持ってくると言った親友の心遣いを思って何も言わずに布団の中に戻した。

 「ごめんな。心配させて。」

 テイトの足が止まる。ふと振り向いた顔に笑ってみせると、向こうも笑い返した。
 (でも待て。その顔はちょっと苦笑気味じゃないですかテイトさん?)

 「戻ったら、今日はずっと傍にいるから。そんな目しなくても大丈夫。」



 (オレ、そんなに寂しそうにしてたのかな)
 それとも心を読まれたのかしら、なんて冗談を考えて、足音が遠ざかっていくのを聞く。
 兎に角少しだけの辛抱だからと、ミカゲは熱で潤んだ瞳を閉じた。








3 覗き込んでもいいですか



※現代パラレル ヒュウガ×ハクレン






日曜日、正午。

 本来なら家のソファーにでもくつろぎながら大好きな彼の髪を嗅いで、お昼ご飯は何だろうなんて思っているか朝ごはんなんて言えない朝御飯でも食べている時間。
 休憩の合図が鳴った瞬間、携帯一つ持って立ち上がり自分のデスクから離れた。
 
 いつも聴いていた声が聞けないだけでこんなにも不安定になる自分なんて知らなかった。
 君もそうなのかな?自意識過剰かもしれないけど思ってしまう。三日聞けなかった俺の声は、君にはどう聞こえるんだろう。 
 部屋から出て、早足で長い廊下を歩く間も二つ折の携帯を何度も指先で開いては閉じる。

 会社の玄関が見えた所で、いい加減痺れを切らしてしまった指先は自制なんて知らずに迷わず彼の番号を探し出して通話を開始させる。呼び出し音が鳴っている間に無事会社から出て、澄み渡る青空を仰いだ直後、機械音が消えた。
 
 「もっしもし?起きてマスカ?」

 少しおどけたフリをしてある筈のないことを言ってみる。彼がこんな時間まで寝ている筈ないのに言ってみたのは、こんなことでも言ってないと落ち着けそうにないからだ。
 何度だって呼びたい名前は、彼の声が自分の名前を呼ぶまで少しだけ我慢しないと、休憩が終わるまで絶えず呼んでしまいそうだったから。

 だからホンの少しだけ我慢、そう思って数秒待つ。

 「ヒュウガ、か?」
 「ハクレン…?」

 返ってきた声が思った以上に弱くて携帯を握る手に力が篭る。どうしたの?と訊く前に二度、三度と名前を呼ばれ、その声が涙に濡れる前にハクレンは苦しそうに呟いた。

 「何故、ここにお前の温もりが無いんだ。」

 言ってすぐに電話の向こうで息を呑む気配がした。自尊心の強い君だから、本当はそんな事言いたくなんて無かっただろう。でも、もう声は、想いは届いてしまった。

 「ごめんね。今日中には必ず帰るから、抱きしめられる準備して、待ってて?」
 「・・・莫迦っ!!」

 数泊置いて叫ばれた声の調子で、照れている事が判る。きっと彼の顔は耳まで桜色に染まって憤慨しているんだろう。そうして、誰にも見られないように顔を腕で隠してしまうのだ。





 そんなハクレンの顔を見るのが凄く好きで、もっと俺の事を見て欲しいから、今日は絶対に帰るよと心の中でつぶやいた。
 (それを言ったときのハクレンの顔は、ちゃんとこの目で見たいからね♪)






4 きっと出会う運命だった


※ミカエル+ミカゲ





 ああ、まただ。

 ゆっくりと、朧気に、だが確実に、"彼"は目覚めて零す。

 主がまた、泣いている。

 泣かないでと、抱き締めることができたらどれだけ良いだろう。
 愛していますと、頭を撫でることができたら出来ればどれだけ救われるだろう?
 意識下であれば、いくらでもそれは成せる。完全には動けぬ体でも、魂は抱けるから。
 しかし、今主が求めているのは温度だ。
 ヒトが触れ合うときに感じる優しい他人の体温だ。

 自分にはそれは、どう足掻いても与えられない。

 主の求めているそれを出来ない己が歯痒く、"彼"は意識の中で唇を噛む。

 突然の、人の気配。
 二段式のベッドの下で、スプリングの軋む音が微かに聞こえた。他の誰かの睡眠の邪魔にならないように意図的に静かに動いているのか、他に動く音は聞こえてこない。
 但し"彼"と彼が体を共有している主はともに気配に対してかなり敏感なタイプなので、普段なら動く気配だけで主が目を覚ましてしまうのだが、流石に気が抜けてしまっているらしい。その気配は"彼"の、主の眠るベッドのそばまで来るとゆっくりと頭を撫で始めた。

 開かない瞼を無理やり起こすと、撫でる手の動きがぴたりと止む。
 ゆっくりと視線をめぐらして掌の元をたどると、一人の少年と目が合った。

 「悪い。起こしちまったか?」

 少しも悪いとは思っていない様子で、少年は琥珀の瞳を細めて笑う。名は確か、ミカゲ。
 寧ろおぬしは起きてほしかったのではないか?そう言おうとして、口がまともに動かない事に気づく。覚醒前だからか、主の体との接続が上手く行かなかったらしい。
 他は、と体の部位を動かそうとしてみるが、どうも今回は目の周りと首と、頭、"彼"自身が居る右手から腕にかけてのみ接続したようだ。しかも接続できたと言っても思うとおりに動くわけではないらしい。中途半端な接続に己のふがいなさを感じ眉根を寄せると、ミカゲが何を思ったか手を放してしまった。

 「ごめん、もう邪魔しないから。」

 どうやら眉根を寄せた原因が自分にあると勘違いしてしまったらしい。
 ミカゲは今度は本当に、少し困ったような、申し訳ないとでも言いそうな、それでも笑った顔をしている。
 "彼"にとっては、ミカゲが勘違いしているのはどうでもいいけれど、折角主の求めていたものが離れるのは困る。"彼"は四肢のうちで唯一自らの意思で動くことが可能な右手を上げると、引っ込めようとしていた手を掴み引き寄せた。
 ミカゲは驚いたのか、一度瞬きをすると今度は純粋に困ったように笑った。"彼"の行動の理由が読めないのか動かないでいるのをいいことに"彼"は引き寄せた手を更に引き寄せる。

 「ええっと、離れるよりそっち行った方がいいのか?」

 "彼"が今話せない事に気づいたのか疑問調で問いかけたミカゲの腕を問答無用で引く。
 ミカゲは小さく了解、と呟くと"彼"の主が起きないようにそっとベッドに忍び込み、主の右側に体を横たえらせ腰に手を回すと、首を傾けて自分を見る"彼"の瞳を覗き込んだ。

 「やっぱ、綺麗な目、してるよな。」

 どこが、主の瞳のほうが美しいではないか。問いかける様に視線を向けると、ミカゲは判っているとでも言うように笑った。

 「いや、テイトの目も綺麗だけど、俺、夕焼けがすっげえ好きでさ。」

 何故ここで夕焼けの話が出てくるのだろう瞳の色を話していたのではないだろうか。話の流れが掴めず黙っていると、不意に頬に手を添えて笑った。その瞬間、琥珀の瞳に月の光が入った。

 「特に冬の夕焼けが透明度の高いルビーみたいな赤色で綺麗なんだけさ、お前の瞳って、それに似てて、綺麗だなって思ったんだ。」

 お前の瞳は、空のイロなんだな。そういって一層深く笑うミカゲの眼を見て、この少年は何を言っているのかと呆れた。

 おぬしの瞳も美しいではないか。
 主や我には数倍も劣るが、おぬしの人格を顕した、優しい琥珀と金の色。第一、神の一部をこの世の物にたとえるとは何たる無礼。

 そう言ってやりたかったが、口は動いてくれない。ザイフォンで顕してもミカゲに"彼"の文字は読めないので意味が無い。
 何故今回に限って接続が悪かったのか。言いたい事が言えない現状が悔しい。次に瞳が覚めたときには必ず言おうと心に決めていると、ミカゲは少し顔を赤らめて苦笑いを浮かべていた。
 どうかしたのかと視線で問うと、ミカゲは一言唸った後言いにくそうにしながらも答えた。

 「いや、口説いてるみたいだなって思ったら急に恥かしくなってさ。なんか、ごめん。俺明日まともにテイトの顔見らんないかもしんない。」

 視線を彷徨わせて、ついには俯いてしまったミカゲにまたも呆れた。

 今更、そのような事を言うのか?おぬしは。

 だが、悪い気がしないのも確かだ。顔を上げないでいるミカゲの頭を軽く叩くと、頭をずらしてミカゲ額と己の側頭部をこつんとぶつけた。
 ああ、主が泣き止む。
 魂が安らかになっていくのを感じる。

 ヒトの体温とはかくもここまでヒトを安らかにさせることが出来るのか、それともミカゲだからか。掴んだままだった手の平を本体のある右手で包む込むと、"彼"は主の睡魔の任せるままに瞳を閉じた。



 (Ihre Leichtigkeit ist meine Leichtigkeit.
  Meine Leichtigkeit ist Ihre Existenz.
  Und seine Existenz ist Ihr und meine Leichtigkeit.)








5 君を想う


※ハクレン×ミカゲ(現代パラレル)





 小さな部屋に、幾分か穏やかになった日差しが差し込む。
 図書館の一室、閉めきられた自習室で二人きり。
 まだ西日とは程遠い熱さに思わず眠りの世界へ落ちてしまいそうになる自分を叱咤し、目の前のノートに集中していたらまた眠くなると横を見て、目の前に広がる光景に思わず息を詰まらせた。

「ハクレン?」

 机に座ったまま、両腕を枕代わりにして瞳を閉じている麗人の名を呟いてみるが反応は無し。
そういえば最近ずっと遅くまで勉強していると言っていたと、起きる様子のないハクレンの頬に掛かる髪をそっと掬って耳にかける。
 少し触ったというのに僅かに身じろいだだけで再び規則的な呼吸を立て始めた恋人に思わず笑みを浮かべる。
 本当なら起こした方がいいのは判っているけれど、普段ならば決して見る事の適わない珍しい光景と、疲れているんだろうなという思いに起こす手を止めてしまう。
 何より、ハクレンの寝姿を眺めていたくて仕方ないのだ。

(綺麗だよな)

 立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花、なんて昔々に作られた美人を差す言葉があるらしいけど、ハクレンはまさしくそれだと思う。同じ男でも見とれてしまう程の美貌。今も時折震える白金の睫毛が漣のようで思わず溜息。
 中身が伴っていれば、それこそ女と偽ってもいい位なのだが、そんな希望を打ち砕くくらい男前な性格であることを知っているので何とも言えない。
 まあ、それも起きていればの話なのだけど。

 同じように組んだ腕をテーブルに置いて同じように腕に頭を置く。目線を同じ高さにした瞬間にまた睫毛が震えて、眉間に僅かに寄った皺に思わず心臓が跳ねた。
 寝てても男前なのは男前なのな、と早くなった心音を抑えるように片手で胸を抑える。
 自分がそんな風に、己の行動にわざわざ緊張しているなんて気づかず眠っているハクレンに僅かばかり眉を潜めて、ミカゲはちょっとだけ悪戯してやろうと眠る頬に顔を寄せた。





(ってオレばっかりはずかしいんじゃん)

 ふと思い返し、思わず頬を熱くする。
 何やってんだろとハクレンから離れ眼を閉じ片手で自らの唇を抑えると、突然その腕を掴まれる。
 驚いて眼を開くと、眼前に二対の紫水晶。

「ハク、レン。」

 もしかしてさっきの、と続けようとした唇が、ハクレンのそれに塞がれるのはもうすぐ後。





おまけ。















きみのしらない知らないきみのひとこと








抱きしめられて眠っていたなんて、目をあける前から判ってる。


枕にしているのは相手の腕。自分の、肩から背中にかけて在る重みも同じ相手の腕。
ヒュウガと自分との身長差は、抱き枕として腕の中に納まるのに丁度良いらしく、同じベッドで眠る時いつも抱きしめられて眠る。先に一人で眠った時ですら、朝になれば抱きしめられていた。
抱きしめられていること自体はいいのだが、少し熱くなってきた。これでは、もう暖かくなってきたからと二枚被っていた掛け布団のうち毛布を取った意味はないのではないだろうか。

(無理矢理腕を剥いでから叩き起こすか、それとも一応先に起こしてから離れるか)

目の前にあるあまり焼けていない肌を見詰めて軽く眉を顰める。ヒュウガを眠らせたまま離れると、いつも起きたときに不安そうに呼びながら自分を探し始めてしまう。なので、一度起こす必要があるのだが、熟睡しているヒュウガをはたして叩き起こさずに眠りの世界から呼び覚ますことが出来るだろうか。一度試してみた事があったが、その時は余りにも起きなかったので最終的に両頬を思い切り抓った。

(矢張り、叩き起こすのが一番手っ取り早いか)

どうせ最終的にはそうなるのだ。
うんと頷いて実行に移そうとすると、思考を呼んだわけでもないはずのヒュウガが不意に抱きしめる力を強めた。
離れようとした矢先の行動に固まっていると、頭に触れたヒュウガの口元が動いて、何事か囁いた。








「・・・ん、あれ?ハクレン?」
「・・・やっと起きたか馬鹿が。」
「やっとって・・・?えー!もうこんな時間!」

目を開けて既に12時を廻っている時計の針を見て、ヒュウガが勿体無いと呟くのを聞きながらハクレンはゆっくりを身を起こし静かに息を吐いた。
長かったような短かったような。兎も角もコレで自分は自由だ。

「でも、珍しいねぇ。」
「・・・何がだ?」
「何時もならこんな時間までハクレンが寝てるなんて有り得ないのに・・・昨日そんなに無理させた?」

ごろりと寝転がって不思議そうに問いかけてくるヒュウガに、いや、と応えてベッドから抜け出す。

「春だからな。」
「?」
「言うだろう?春眠暁を覚えず、とな。」

にやりと笑って相手を振り返ると、ヒュウガは納得したようなしていないような声でふぅん、と首をもたげた。
その姿を確認して部屋を出て、ハクレンは口元に自嘲の笑みを浮かべた。さっきのは、大分苦しい言い訳だった。


(本当の理由なんて、言えるわけがない・・・お前の寝言の所為で動けなかったなんて)


その言葉が嬉しくて動かなかったなんて、絶対に言ってなどやるものか。



















Ich warte


※アヤフラ(仲良し注意報発令中)



『すぐに戻る』


そう言われて30分、車の中は春の陽気だけが入って温かい。
一つ欠伸をしてフラウは助手席の窓からあいつが入って行った高層ビルを見上げた。

「どこがすぐなんだっつーの…」

オレの中のすぐってのは5分くらいなんだよ、と盛大に溜め息をつく。座り心地のいい席に身を預け最後のタバコに手をつけた。
最近のあいつはやたら忙しいらしい。らしいっつーのはオレの仕事が夜で、奴が残業して帰ってきても気付かなかったから。休日返上で仕事にいく日が増えて漸く、大きな仕事を任されてると…しかもその数が一つや二つじゃないって事も、最近聞いたばっかりだ。今は丁度それが全て佳境に差し掛かっている所為で、今もこうして久しぶりに取れた休みにあいつは仕事中。

仕方ないとはいえ、オレはあいつがオレよりも仕事の方が大事に見えて、少し淋しい。

とはいえどっちのが大事かなんて女々しい事聞ける筈もなく、一人の時間をこうして持て余す。
あいつの仕事場の出口には見事な桜の木が対になるように並べられている。七分咲きのまだ見事とはいえないが綺麗な桜が出口を飾っていた。
しばらくは花見気分でそれを眺めていたがいい加減飽きてきた。
戻ってくるまで眠っていようかと瞳を閉じた瞬間、携帯電話が震えた。


『済まない、後10分程で戻る。寝るなよ。』


通話開始と同時に言われ、直ぐに切られる。なんだあいつはオレの行動どっかから見てんのかと問い詰めたくなる片言の言葉にしばらく固まっていたが、ふとあることに気づいて込み上げる笑いに口元を押さえた。

(起きて出迎えろって事か・・・)

「わかったよ。Lieblingsperson。」


(不機嫌なお前より、満足げな顔が見たいから)
















You've Got Mail







※ハクミカの場合






『明日、会えないか?』

書かれたその一文に目を瞬かせて、返信ボタンを押す。

『テイトと午前中に会うから、どうせなら三人で会おうぜ。』

送信ボタンを押して、飾り気の無かったメール内容を思い出す。
素っ気無かったかなと不安が過ぎるがいくらも待たないうちに戻ってきたメールがそれを打ち消す。

『お前と2人きりで会いたいんだ。』

「・・・えっとー…?」

それはどういう意味なんだろうと思いつつ再度返信ボタンを押す。

『じゃぁ、お昼過ぎに二人で。』

ときめきを隠して、会いにいきます。








※ヒュウハクの場合



『明日、会おう』

書かれたその一文に苦笑して、返信ボタンを押す。

『今日、会っただろう?』

送信ボタンを押して、しばらく手の中で携帯を玩びながら歩く。
あまり早い速度とは言えない歩みが止まるのは30秒後に届いたメールによって。

『うん、でも会いたいの。オレは欲張りだから。』

「・・・しょうがないな。」

携帯のライトに光る文字に苦笑して再度返信ボタンを押す。

『朝、7時に行くから起きておけよ?』

欲張りなのはこちらも同じなんだ。








※アヤミカの場合






『明日、何時から暇だ?』

書かれたその一文に首を傾げて、返信ボタンを押す。

『明日は日曜だし、バイトも無いから一日中空いてるけど?』

送信ボタンを押して、友人達との予定が入っていないか再確認。
お風呂入る前に着たメールで、友人の一人との遊ぶ予定はキャンセルされた筈、と確信を持った瞬間にメール着信音が鳴る。

『お前の作ったコーヒーが飲みたい。』

「・・・不器用な言い方すんなよ。」

頬が紅くなったのを自覚して再度返信ボタンを押す。

『昼から晩まで飽きるまで、嫌になるくらい飲ませていい?』

ずっと傍にいたいから、こんな事言ってみる。








※アヤフラ(仲良し注意報発令中)の場合





『明日、暇だ』

書かれたその一文に眉を顰め、返信ボタンを押す。

『それが、どうした』

送信ボタンを押して、携帯を閉じると途中で止めていた作業に戻る。
五分ほどでそれを終らせて再び携帯を開くと新着メールが一件。

『会いたいって意味くらい判れアホ』

「・・・判っていたから聞いた。」

相手には聞こえない本音を呟いて再度返信ボタンを押す。

『明日の朝までにはそちらに行く。』

それまでには、明日の仕事も終っているだろうから。
















気遣い

*in軍部アヤミカ+テイト(会話文、話しているのはミカゲとテイト。ミカゲは参謀部所属ではないです)

「ただい・・・ミカゲ?」
「・・・おかえり。」
「・・・アヤナミ様は?」
「(黙ったまま斜め後ろを見る)」
「・・・・・・・・・、なぁ、なんでそういう状況になってるんだ。」
「わかんね。仕事してたら少佐が急にこっち行けっつって、来たらなんかこういう状況に・・・」
「・・・とりあえずお前の上司に報告はしなくても良さそうだな。ちなみにそうなってからどのくらい経った?」
「えーっと・・・10分くらい。」
「10分も顔赤くしたままその状態かよ。ちょっとは落ち着け。」
「うっさい。髪がくすぐったかったり息が掛かったりするんだよ落ち着いていられるか。なんなら替わるか?」
「断る。」
「テイトー、お前参謀長官のベグライターだろー?」
「オレはミカゲじゃないからな。」
「・・・どういう意味だよ?」
「(コイツ、本気で判ってないんだろうな・・・)兎に角、オレは断る。仕事残ってるしな。」
「オレだって仕事あるのに・・・(腕に回された手に自分の分を重ねてため息)」
「・・・。」


―数分後―


「・・・・っ!!」
「どうしたんだ?」
「・・・!・・・っ!(口をあわあわて泣きそうになりながら横目でテイトを見る)」
「・・・、うん、お前それその顔オレとアヤナミ様の前以外でするなよ、絶対に。・・・あー、これはもう時々息がかかるなんて問題じゃないな。」
「腕の力も強くなって・・・なんか、首の辺りぞくぞくするんだけど・・・っ!」
(片手の親指を立てて)「うん、頑張れ。」
「傍観者気取らずに助けてくれませんかテイトさん。」
「(お前を助けたらアヤナミ様が不機嫌になるから)断る。」
「・・・、それに、参謀長官いい加減起きたほうがいいんじゃないのか?仕事的に。」
「今は急いで処理するもの、ないから。」
「ちょっとは親友を気遣ってくれ。」
「(そんな気恥ずかしい光景を見ながら仕事をするオレの心情も気遣ってくれ!)」














さみしくないよ

*アヤナミ+子ミカゲ 親子パロ



子ミカゲ「お帰りなさいお父さん!あのねっこれあげる。」

アヤナミ「…これは?」

子ミカゲ「あのね、『おりがみ』で折った『つる』って言うんだって。はじめて作ったから大分失敗したけど…。」

アヤナミ「そうか…。初めて作った割には上出来だな。」(頭をなでる)

子ミカゲ「本当っ!?」

アヤナミ「ああ、ミカゲは手先が器用だな。」

子ミカゲ「えへへ〜Vv」


アヤナミ「この鶴は執務室に置いておくことにしよう。」

「…あ!じゃあ、おともだちも作ってあげないといけないね!」

「そうだな、一人は寂しいからな。」

「うん!…おとうさんも、一人はさみしい?」

「ああ…少しな。でも今はミカゲがいるから寂しくないよ。」

「おれも、お父さんが居てくれるから寂しくないよ。」

「本当か?」

「うん。…おれ、いつかべぐらいだーになって、ずっとお父さんの傍にいるから!そしたらもっと寂しくなくなるね!」

「お父さんのべグライダーになるには大変だそ?」

「大丈夫!ちゃんとなるもんっ!ちゃんとべぐらいたーになって、お父さんのお手伝いする!」

「…そうか、早く立派なべグライターになるんだぞ。お父さん待っているからな。」

「うんっ!」



















潮騒

・テイミカ
初めて得た親友と言う宝物

無くしたくない、







片手で頭を支えて、適当に目についた題名の本をめくりながら適当に眺める。
内容は判りやすい。恋愛小説の典型とも言える進行状況。
その隙間を埋めるような中身の薄い社会批判。
これなら帝国の政治家たちも苦笑を浮かべて発行可の印を押したんじゃないだろうか。
元々恋愛小説になど興味もなく取ってしまったので、あまり面白くもなさそうだと思ったテイトは本を閉じて立ち上がる。
勿論、本を戻すために。

そもそも自分はなんで恋愛ジャンルの棚に足を運んでしまったのか。
首を傾げつつも、本を元にあった場所に戻して、なんとなくそのまま他の本の背表紙を眺め始める。
軍人になるような人間があまりこういう本を読むとも思えないのだが、
以外にも敷き詰められている筈の棚はまばらに穴が開いていた。
それでも他の棚に比べると少ない方かな、とゆっくりと視線を流していくと、
図書館の入り口で同じ組の生徒が談笑しながら入ってくるのが見えて、目を止める。


あまり話した事のない生徒だ。
シュリやその取り巻きのように自分に対しての批判を言ったりしないが、特に必要もなければ話掛けられた事もない。
その生徒が、ミカゲと一緒にいる。
その事実にテイトは無表情のまま、その様子から視線を横に逸らした。

気にする程の事でもない。
ミカゲは元々人懐こい性格をしているし、自分の様に陰口を叩かれるような過去を持っている訳でもない。
友人を作ろうと思えば、それこそ誰とでも親しくなれる筈なのだから。
たとえ相手が、親しくなる以上の事を求めていても。

「テイト」

視線を入口に戻すと、手を上げて歩いてきたミカゲと目が合った。


「何暗い顔してんだ?折角のカワイイ顔が台無しになっちまうぞ。」

「別に。なんでもない。」

そうか?
と首を傾げるミカゲの背後で、さっきまで彼と話していたクラスメイトがこちらを見ていた。
まるで射殺そうとしているような視線に思わず目を細める。

「ただ、少し…」

「ん?少しなんだって?」

身を屈めてテイトの声を聞き取ろうとしたミカゲの肩に手をまわし、わざと遠目からでは抱き付いているように見えるようにする。
クラスメイトが驚いたような、傷ついたような顔をしたのを横目で眺めてテイトは口角を上げた。


「ごめん、やっぱりなんでもない。」

「本当か?」

「ミカゲに嘘ついたってしょうがないだろ。」

肩に回していた手を退くと、ミカゲは姿勢を元に戻して疑わしげにこちらを見る。

「それより早く本返して今から購買行っておかないと、お前が食べたいヤツなくなるんじゃないのか?」

「あっそうだった!」

そう言って慌てて受付に向かったミカゲを見送って、テイトはちらりと先ほどから入口で突っ立ったままのクラスメイトを見つける。
わざとゆっくりと顔を彼の正面をなるよう向けると、テイトは薄く笑みを浮かべたまま口だけを動かした。




触れるな。





ミカゲはオレのだ。



「テイト!返却終わった。早く購買行こーぜ。」

「わかった。」

呼ばれた声に返事をして、テイトは用は済んだとばかりに視線を外した。
事実、もうあの男に興味はない。



オレが無くしたくないもの、触れ続けていたいのはたった一つ。


はじめて見つけた。オレの光。











きっと、離したりしない。




無自覚テイト。
よもやそれは親友に対する思いじゃないよ!
タイトルに深い意味はないです。そんな名前の曲を聴きながらかいたというだけ。