キミのための綺麗な夜
Silenttd Night Holy Night
All is calm, all is bright
Round you Virgin Mother and Child
Holy infant so tender and mild
Sleep in heavenly peace
Sleep in heavenly peace
「・・・あ、おかえり、テイト。」
「・・・うん。」
入口付近に親友が戻ってきていたのに気づき、少し気恥ずかしくなって十字に傷のついた頬を掻く。
歌…とくに今歌っていた賛美歌のようにゆっくりとした歌はあまり自信がないので、誰にも迷惑がかからないように一人で歌っていたのだが、テイトはいつから聞いていたんだろうと近づいて顔を覗きこんでみた。
視線に気づいたテイトはいつも通り少し怒ったような表情をしていたが、ふと瞳を瞬かせると視線を少し横にずらした。
「さっきのって、賛美歌?」
「えっああ、うん。・・・聞いてた?」
あんまり聞かれたくなかったんだけどと思いながら聞いて見ると、テイトはこくんと首を縦に振った。
「聞いてたよ、途中からだけど。・・・歌ってるミカゲ、綺麗だった。」
「・・・・・・へ?」
一瞬言われた事がわからず目を瞬かせる。テイトの言葉の後半の意味が判らないと顔を強張らせてると、今度はテイトが顔を歪めた。
「歌ってるミカゲが、綺麗だった。」
「・・・っ、二度も言うなよ・・・!」
「だってお前、理解出来てなかったみたいだからな。」
言われた意味を漸く理解したミカゲは顔を紅くしてテイトから離れ、何故か熱くなった心を鎮めようとベッドに腰を下ろして胸を押さえた。
テイトは首を傾けてミカゲの前に立つと自分よりも下になったミカゲの頬に左手を添え、右手で淡い虹彩を放つ髪をかきむしるような勢いで撫でていく。
「歌、歌って、綺麗なんて言われたの初めてだ・・・。」
「奇遇だな、オレも歌ってる人見て綺麗だと思ったのはミカゲが始めてだ。」
楽しそうに言う声に反応して、ミカゲが顔を上げるとめずらしくテイトが笑っていた。
オレが歌っている姿よりも、きっとお前の笑顔のが綺麗だよ、そう言いたいのに今言うのは憚られて近づいてくる唇を黙って受け入れた。
「―…、なぁミカゲ、さっきのもう一回聞かせてくれないか?」
「・・・あんまり上手じゃないぞ・・・?」
「いいんだ、歌ってる姿が見たいから。」
笑ったまま言うから、ミカゲは仕方ないな、と笑って、歌いやすくなるために立ち上がった。
きみが笑うから、この夜は綺麗だ