I am relieved in you
意識が深層から底上げされたのと同時に感じる、違和感。
開かない瞼を半分だけ上げると、テールランプを頼りに書類を眺める麗しの参謀長官様のお姿が見えた。
お布団の中にまで仕事を持ってくるのは人としてどうよ、アヤたん。
大体今日だって仕事終わったんじゃなかったっけ。だから俺を部屋に呼んでくれて、可愛がってくれたんじゃなかったの。
今、ここで読む必要があるくらいに仕事が詰まってるなら俺のことあそこまでする必要・・・って、そうか、今回はアヤたんが単純にしたかっただけで、それで俺が呼ばれたのか、な。
だからって仕事をないがしろにしてまでこういうコトをするなんてらしくないなあ。俺としては、役得な部分が多いけど。
だからといって今のアヤたんの行動を続けさせる気にはならなんだけどさ、今日はお月様もお休みしているんだし、そろそろ大人も眠る時間だと思わない?
口を開くのも億劫で、代わりにアヤたんが手に持っていた書類を見えなくするように腕を伸ばして紙面の真ん中に手を置いた。ここで視界はブラックアウト。もう瞼が言うことを聞いてくれません。
「寝よう、よ。」
俺が起きていたのには気づいていたのか、アヤたんは特に驚かなかった。ただ少しの怒りと呆れを含んだ視線を感じて、億劫だった口を開いて弁明をしてみる。
視線はまだ感じていたから、視線を交わしたくなって、開いてくれなくなった瞼を無理矢理押し上げようとするとふいに冷たい何かが瞼にあたった。
「もうよい。」
指先だ、と理解した瞬間に耳に響いた低い音。
指が離れると同時に俺の手のひらからも紙が引き抜かれる感触があって、俺の手の届かない所に離れて続きをするのかと気持ちが沈んだけど、その予想は大きく外れて微かな布擦れのあとアヤたんが横になるのが、体重のかかる感触と隣に感じた体温で判った。
安心して体を引き寄せると普段なら頭に回してくる手が、珍しく俺の脇を通して背中に回る。
不思議に思って少しだけ抱く力を強くするが、甘えてきていると思っているのかそのくらいは想定内なのか、腕の中の体も口元をくすぐる髪も微動だにしない。
これは、甘えてきてくれていると、言うことだろうか。
じわじわと、微睡みの中でそれは明確な喜びになってさらにアヤたんを強く抱いた。
今までこんな風に甘えてくれることがなかったから。
もしくはこれも、俺を甘えさせる一環なのかもしれないけれど。
だきしめられて、だきしめて